久しく姿を見せなかった姪姫が、漸く姿を現した。 古の神である自分は、この地の続く場所であれば何処へでも行けるが 海を渡られてしまえばその限りではなかったし 心の何処かで、あの姫にとってはその方が良いかも知れぬと思っていた。 雪女という妖は、生命力の強い ...
雪花紅梅 ~恋歌~ 第19首
「・・・で?」 「久しいのう♪」 「・・・神とはいえども、こんなことをするなら凍らすぞ?」 「何が不満だ?」 「何もかもじゃろうがっ!! その姿も、妾を神隠しにするのもっ!! 暫く見(まみ)えぬうちに、一層性格が歪んだかっ!?」 「クククッ。相変 ...
雪花紅梅 ~恋歌~ 第18首
読み終わった占いは、境内の小枝に結びつけるのが慣例らしく 俺達もそうやって結びつけようということになったけど その前に、忘れないように内容を携帯に書き写すことにした。 俺のと、つくしのを、2人分。 あいつらが見たら驚きそうなくらい、マメになっているらし ...
雪花紅梅 ~恋歌~ 第17首
目の前には、石段の一段ごとの両端に、紅い燈篭が見事な本宮入り口。 冬の京都の、北洛と呼ばれるこの地は、掃き掃われているとは言え雪深く ひとの往来も無い静けさの中に悠然と佇んで、凛と刺すような神気を放っているように思える。 雪女の気にあてられたのか ...
雪花紅梅 ~恋歌~ 第16首
ああ、その歌は・・・・ 雪女は その口から、ひとの生気を吸う妖で その口から、冷気を吐き凍らせる妖で だから雪女との口吸いは、ひとの子にとっては命懸けだというのに・・・・ そなたは、そなたという男は・・・・・ 溢れ出た ...
雪花紅梅 ~恋歌~ 第15首
世界中から観光客が訪れる日本の古都、京都。 国際的な陶芸家でもあるイジョンから、自分が定宿にしている嵐山の宿も紹介されたが その宿の概要を聞けば聞く程、妖のつくしと行くには似合い過ぎる気がして却下した。 他にもいくつかお勧めの、いわゆる隠れ宿のような通 ...