スリョンがシン達の事情を知ってるという友人達の進学先は?と聞くと全員王立は嫌いだから
誘えば一緒にくるかも?と2人が言う。
 
「仲間は大事だ。今すぐ誘え。」と何時に無く強い口調で言うジフと、それにビックリしつつも彼らしく
「ちょっと待て!結局何人が神話になるんだ?人数と名前を教えてくれ!殿下は仕方ないとしても、他は宮から連絡されるより、俺が動いたほうが秘密も守られるし、何より話が早いからな!」 とジュンピョが言う。
 
「それなら、善は急げよ」とジャンディが言い出して、自分は会長のヒスに連絡するから、ジュンピョは姉で社長のジュニに連絡をしろと、ジュンピョの尻を叩く。
 
「本人達の意思も聞かなきゃダメなんじゃない?」とカウルが提案したので、シンとチェギョンはお互いの友人達に電話をかけ始める。
 
「どうせなら、皆でご飯たべながら、親睦を深めちゃえば?」と賑やか大好きのジェギョンが言えば、それにスリョンが乗ってきて、「シナたち、取りあえずご飯食べに来るように言って頂戴♪」とニッコリ命令する。
 
「なぁ?今現在神話に王族やその縁者がどれだけいて、それが誰か、把握しておいたほうがいいんじゃねぇの?」とイジョンが思案顔で言うと、少し考えたジフが「スリョンの為に高校と大学の生徒の事はモーガンが把握しているはずだ。多分ジュンピョより詳しく解るだろうから、papaクリスに連絡してみよう。」とスリョンに言う。
 
最初は驚いたものの、見事なチームワークで次々と問題解決に向けて動き出す高校生組を、驚きながらも頼もしさで笑顔になってゆくシンとチェギョン。
 
今まで、尚官や内官、そして最近では友人達も協力的ではあったものの、お互いだけで乗り越えてきた感の強い2人だった。ジフの言う「仲間」やスリョンの言う「頼る」事がどういうものなのか、初めて解った様な気がしていた。
 
短時間の内に、其々が必要と思われる考えを出し合い、連絡すべきところには連絡し、後は情報とシン達の仲間の到着を待つだけになったところで、スリョンが宣言した。
 
 
「さぁ。腹が減っては戦は出来ぬ、と日本では言うのよ!ご飯にしましょう!」
 
 
人数が増えに増えたので、普段の食卓では間に合わないが、晩餐会のように長いテーブルでは仲良くなれる気がしない、とジャンディとカウル、スリョンの庶民組が提案し、使用人の人達にも手伝ってもらって皆で床に座って食べられるような仕度を整える。
 
 
食事はスリョンの好きな伝統的な韓食だったからこの仕度でも問題ないのだが、こんな風に食事をした事のない皇太子を筆頭としたお坊ちゃま達はちょっと戸惑う。
 
それに直ぐ気付いたスリョンが「ほらみんな、適当に座って?さぁ、シナ、チェギョナ、これ美味しいから食べて。ジフ?好き嫌いは大きくなれないわよ?ナムルだけ食べてちゃだめなのよ?」などと、甲斐甲斐しく世話を焼き、其々の皿に色とりどりに取り分けてやる。
 
それを見ていたジャンディ達も、同じようにジュンピョ達の世話を焼き始め、彼等も食事を楽しみ始めた。
 
 
 
「ヌナ・・ヒョンはこれ以上大きくならなくてもいいのでは?」とボソリと呟くシンに、「あら?どうして?まだジフは成長期だし、分からないわよ?」とスリョンが不思議そうに問えば、今度はチェギョンが噴出しながら「オンニ!シン君はオッパが自分より大きいのが悔しいのよ!」と茶化す。
 
イジョンとジュンピョも「殿下の気持ちは男なら当然理解できるな」と頷き「ジフはもう十分デカイから、伸び悩んでしまえ!」と呪う。「うるさい。お前らだって、十分育ちすぎだろ?しかも無駄に。」とジフが切り返してる隣りでは、なぜか真剣に「シナはジフよりずっと大きくなるわ!美味しいご飯を一杯食べて、よく寝ればいいのよ!」と励まし始める。
 
それを嬉しそうに聞くシンと、可笑しくてたまらないとお腹を抱えるチェギョン。
そして・・・「スリョナ?何故シンばっかり可愛がるの?」とイジケるジフ。
 
「あら?私、何か間違っちゃったかしら?」と不思議顔のスリョンに「ジフ先輩はいつもスリョンの一番でいたいのねぇ~」とジャンディが天然発言を投下。薄っすら頬を染めるジフとスリョンを、皆は幸せそうに見守っていた。
 
 
 
そのうちに1人、2人、とシンとチェギョンの友人達が顔を出す。
其々も大会社の子息や令嬢だったが、ここにいたのは今後韓国や世界を代表するような者ばかり。
しかもその内の3人は有名なF4だ。緊張するなと言われても、しないわけにはいかない。
 
が、ここでも、スリョンが上手に、彼らの緊張を解きほぐしてしまうのだ。
 
 
「インちゃん、ギョンちゃん、ファンちゃん、ガンヒョンちゃんね♪これからもトンセンズを宜しくお願いします。」と必殺女神の微笑みで一瞬にして彼らを赤面させると、今度はジフに向かって「ほら!ジフからもお願いして?可愛いトンセンズの為でしょう?」と促す。
 
「チェギョンは可愛いけど、シンのどこが可愛いんだ?生意気なだけだし・・・。」とブツブツ呟くも「手がかかる奴だと思う。素直じゃないし、偉そうだし、色々ジジくさいし。でも本当は優しくて繊細な奴だし、こいつチェギョンいないと死んじゃうだろうから、これからも大変だろうケド面倒見てやって?」と、憎まれ口半分心配半分の奇妙なお願いをした。
 
 
ジフの言葉に4人の中学生は「シンの事をここまで言える人がいたとは!」とか「偉そうって!確かに!」「そうね、皇子はチェギョンがいないと死んじゃうかもね?」などと言いながら盛大にウケてるうちに、すっかり緊張も解れてしまう。
 
 
チェギョンにべったりくっついて、ご飯を食べさせてもらったり、微笑み合ったり、とイチャコラし始めた皇太子カップルを、ご学友とジフ達は当たり前の光景のように動じないが、始めて見る者達には衝撃だった。
 
「気にするな。あれが本当のシンだ。スリョンの言葉は正しいんだ。皇太子はあいつの職業なんだよ。」
「ジュンピョさんやイジョンさんも、ジャンディやカウルといる時は本当の自分に戻るでしょう?」
「「それと一緒(よ♪)」」と、兄と姉が説明する。
 
「ヒョン達はもっと凄いよな?チェギョン」
「うん。私達、直ぐ見えなくなっちゃうみたいだし?」
「「今日は猫被ってる。特にヒョン(オッパ)が!!!」」
「多分これから嫌と言うほど見せられるから、覚悟したほうがいい。」
「そうそう。でも2人のラブシーンって創作意欲を搔き立てるのよね!綺麗だから!」
と・・・トンセンズの爆弾発言。
 
「ラブシーンって・・・///」と頬を染めるスリョンと、シンを氷河な視線で睨むジフ。
それを見ている面々は其々心の中で、納得したり驚いたり、忙しい。
F4で一番のオルチャンと名高いユン・ジフと、それに寄り添う韓服のお姫様という組み合わせは
現実とは思えない程綺麗だ。確かにこの2人のラブシーンは一見の価値があるかも?等と・・・。
 
いつもはガンヒョン命のギョンだったが、シンにヌナと呼ばれ、御伽話から抜け出たような
可憐でキュートで優しいスリョンが気になって仕方が無い。
元々人懐っこく屈託の無い彼は思い切ってスリョンに近づき、背後から握手を求めた。
 
「スリョンさん!僕もヌナって呼んでもいいですか?」
 
シンの仲間内で一番背の高いギョンは、中学生とは思えない体格だった。
突然の声に驚いたスリョンは振り返った途端真っ青になってガタガタ震えだす。
 
 
 
「ギョン!ヌナから離れろっ!」
「スリョンッ!」
「オンニッ!」
 
それは一瞬の出来事だった。